運営費がかさむ問題

ドクターヘリにとっての大きな問題は運営費についてです。現在、ドクターヘリは全国で43機ほどが配備されていますが、各都道府県全てにあるわけではありません。北海道や長野県など一部の地域にドクターヘリが複数置かれているだけで、ほとんどの県は一機ずつの配備です。また東京都や大阪府など、まだドクターヘリが配備されていない自治体もいくつかあり、現状ではドクターヘリが不足しているような状態にあります。

その原因としては、やはり運営費が高額な事があげられます。救急車と同じく、患者がドクターヘリを利用しても料金などはかかりませんが、ドクターヘリ一機を運営するためには年間で約2億円もの費用がかかってしまいます。今のところドクターヘリの運営費は国や地方自治体からの補助金によってまかなわれていますが、機内の装備品などは医療機関持ちとなっているためドクターヘリの普及を遅らせる一因ともなっています。

ドクターヘリは広範囲をカバーできるため、理想としては一つの自治体に二機程度が望ましいとされています。しかし現状では一機が精一杯というところで大きな事故など複数の重傷者がいるような場合は隣接した県のドクターヘリを要請するなどして対応にあたっています。さらに、民間の救急ヘリが運用されている地域もありますがまだごく一部でしかありません。運営費の問題に関しては難しい部分もありますが、ドクターヘリによる迅速な救急活動が広まれば患者の救命率も上がるため、今後さらなる普及が求められています。